「iichiko Design Week 2024」(東京・渋谷ストリームホール)でのいいちこ駅貼りポスター展示コーナー

イベントレポート/「iichiko Design Week 2024」【後編】 「いいちこ」のさまざまな魅力をトークショーや体験型イベントで発信

三和酒類が「iichiko design」40周年を記念して、2024年10月8日~12日に東京・渋谷ストリームホールで開催した展覧会「iichiko Design Week 2024」。会期中は、常設展示に加えて、日替わりのテーマとして取り上げた商品に沿ったイベントを実施しました。魅力的なゲストを迎えて、デザイン、麹(こうじ)や発酵、料理や音楽とのセッションなど、さまざまな角度から「いいちこ」をとらえた各日のイベントをレポートします。 前編「いいちこの『これまで』と『これから』を深掘りする展覧会開催」 写真:三井公一、桂志穂、根本佳代子

その日のテーマとなる商品にフォーカスした限定イベントを開催

大分県宇佐市でつくられる本格麦焼酎「いいちこ」のブランドデザイン40周年を記念して開催した「iichiko Design Week 2024」では、「iichikoに触れる」「iichikoを知る」「iichikoを体験する」の3つのエリアで構成する常設展示に加えて、5日間の会期の各日に「いいちこ」各種商品をテーマとして設定しています。

初日の10月8日は「いいちこフラスコボトル」、9日は「いいちこパーソン」、10日は「いいちこシルエット」、11日は「いいちこスーパー」、そして最終日の12日は「いいちこスペシャル」をテーマとしました。「iichikoを体験する」エリアでその日のテーマとなる商品を使ったカクテルを提供したほか、「iichikoを知る」エリア内のホールでは、商品にフォーカスした限定イベントを開催しました。

10月8日

発酵デザイナー・小倉ヒラク×「いいちこ」~「いいちこ」の個性を紐解くCOZY TALK!&甘酒・塩麹テイスティング体験~

「『いいちこ』を飲むことは大分のアイデンティティーを盛り上げること」(小倉ヒラクさん)

10月8日は、「『いいちこ』の個性を紐解くCOZY TALK!&甘酒・塩麹テイスティング体験」と題して、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんをゲストに迎え、トークイベントを開催しました。

小倉ヒラクさんは、東京・世田谷区代田で全国の発酵食品を販売する専門店「発酵デパートメント」を運営し、日本と世界の発酵文化の調査や商品開発、イベント企画など、幅広い活動をしている「発酵デザイナー」です。トークのパートナーは、三和酒類 三和研究所 本部長の林圭。この日のテーマ商品である「いいちこフラスコボトル」のロックで乾杯し、トークが始まりました。

発酵デザイナーの小倉ヒラクさん(左)発酵デザイナーの小倉ヒラクさん(左)

「最初に言いたいのが、発酵の専門家の目で見ると、『いいちこ』は国内に数ある焼酎の中でも非常に変わった存在だということです」(小倉さん)

「いいちこ」の大きな特徴は、麹の原料も麦でつくった麦麹を使っていること。焼酎の製造には多くの場合、麦焼酎にも芋焼酎や米焼酎にも、米に麹菌を生やした米麹が使われます。九州の麦焼酎では、古くは長崎県の壱岐(いき)のものが知られていますが、その壱岐の麦焼酎も製造には米麹が使われます。

「いいちこ」に使われる麹の原料が麦となった背景の一つには、古くから地元の大分に麦味噌の文化があったことが挙げられます。また、本格焼酎は「蒸留は1回だけ」という伝統的な製法でつくられるため、においが強くなりがちですが、麦麹ならスッキリと飲みやすいお酒をつくることができる、と林は強調します。

「そこで原料や製法にもこだわって、いわば新しいジャンルの焼酎として当社が45年前に完成させたのが『いいちこ』だったんです」(林)

三和研究所 本部長の林圭(右)三和研究所 本部長の林圭(右)

本トークイベントでは、その後、小倉さん自身が大分県宇佐市にある三和酒類の製造場を見学した際の体験を踏まえて、「いいちこ」の独自性を分析し、林がそれに研究者の視点で応えるやりとりが展開されました。小倉さんが大分を訪れた際に驚いたのが、全国八幡宮の総本宮である宇佐神宮でのこと。地元の日本酒蔵の菰樽(こもだる)と一緒に、「いいちこ」をはじめとした焼酎の一斗瓶がずらりと並んでいたのだそうです。

「20代から当たり前に飲んできた『いいちこ』が、地域との深い関わりを築いていると知り、とても興奮したのを覚えています。『いいちこ』を飲むことは大分のアイデンティティーを盛り上げることなのだと感じました」(小倉さん)

米でなく麦を麹の原料とすることのユニークさを心底楽しそうに語る小倉さん米でなく麦を麹の原料とすることのユニークさを心底楽しそうに語る小倉さん

その後、テイスティング体験が始まりました。三和酒類が焼酎づくりで用いる麹から小倉さんがつくった甘酒と塩麹が、客席にサーブされます。「後半は、麦麹の味わいを体感していただきながら、『いいちこ』の味の設計の話をしたいと思います」と小倉さん。

「『いいちこ』には麦味噌などに多く使われる六条大麦ではなく、ビールなどに使われる粒の大きい二条大麦が使われています。僕も今回、二条大麦の甘酒は初めてつくりましたが、トマトジュースのような酸味が感じられて、軽やかな味わいがありませんか? いっぽう塩麹には、甘酒とは違う酸っぱさと、少しのえぐみを感じますよね。このことから、『いいちこ』の麦麹は、塩麹みたいな調味料よりもお酒に適している、つまり、焼酎用に振り切った設計であることが分かります」(小倉さん)

世界のいろいろな発酵食品を口にしてきた小倉さんは、「お酒と調味料で麹を使い分けるのは日本独特」と評価します。

  • 壇上のテーブルに置かれた「いいちこフラスコボトル」は、「全麹仕込み」の原酒100%でつくられた本格麦焼酎。全麹仕込みとは、一般的には蒸した麦を原料として使う二次仕込みの段階でも、麦ではなく麦麹を使うという製法で、小倉さんはこの点でも「『いいちこ』は変わってる」と語る
  • 壇上のテーブルに置かれた「いいちこフラスコボトル」は、「全麹仕込み」の原酒100%でつくられた本格麦焼酎。全麹仕込みとは、一般的には蒸した麦を原料として使う二次仕込みの段階でも、麦ではなく麦麹を使うという製法で、小倉さんはこの点でも「『いいちこ』は変わってる」と語る

壇上のテーブルに置かれた「いいちこフラスコボトル」は、「全麹仕込み」の原酒100%でつくられた本格麦焼酎。全麹仕込みとは、一般的には蒸した麦を原料として使う二次仕込みの段階でも、麦ではなく麦麹を使うという製法で、小倉さんはこの点でも「『いいちこ』は変わってる」と語る

さらに話題は、「醸造向きなのは身持ちの堅い酵母」、「力強い酵母ではなく、サラリーマンのようにストレスに耐えながらがんばっている酵母がいい酒をつくる」など、微生物の個性に及びます。

「麹には毎日のようにさわっていますが、こいつら世話する人間のことをよく見ているなと感じます。だから、麹に恥ずかしくないふるまいをしなければいけないといつも思っているんです(笑)」と、麹に対する愛情たっぷりの小倉さんの言葉で、イベントを締めくくりました。

10月9日

『TRANSIT』編集長・林紗代香 × 日本ベリエールアートセンター・河北秀也~デザインと旅を繋ぐ風景~

「別のコピーをつけたら全然違った印象になってしまう。それだけ写真とコピーの組み合わせは重要なのです」(河北秀也さん)

10月9日のトークイベントに登壇したのは、40年にわたり「いいちこ」のアートディレクターを務める河北秀也さんと、旅行雑誌「TRANSIT」編集長の林紗代香さん。「iichiko Design Week 2024」のメインの展示物でもある「いいちこ駅貼りポスター」と、この日のイベントテーマで、河北さん自身が撮影する「いいちこパーソン」の雑誌広告について、撮影秘話やデザイン制作の裏側などをお話しいただきました。

  • 「いいちこ」のアートディレクター・河北秀也さん「いいちこ」のアートディレクター・河北秀也さん
  • 「TRANSIT」編集長の林紗代香さん「TRANSIT」編集長の林紗代香さん

1984年に始まり、現在では毎月1点、クリスマスを合わせて年間13点が制作される「いいちこ駅貼りポスター」は、ほとんどが海外で撮影されています。インターネットのない時代からの撮影では、ロケハン(下見)を非常に大事にしています。まずは2週間ほどかけて気になった土地をロケハンし、いったん帰国して準備を整え、再度現地を訪れて2週間ほどかけて撮影を行います。しかし、どれだけ念入りにロケハンをしても、撮影では何度も予想外のことがあったそうです。

「2005年のポスターの撮影でウクライナのキーウを訪れた際、ロケハンの時には一面満開だったヒマワリ畑が、撮影で再訪するとほとんど枯れてしまっていました。でもその中に1輪だけ咲いているヒマワリがあった。当初思っていたようなものは撮れなかったけれど、写真とコピーの組み合わせ、出す時期を工夫することで、そのシチュエーションが生きてくるんです」(河北さん)

2005年8月のポスター。機転を利かせて枯れた花畑を効果的な演出に変えた。ロケハンと撮影はできるだけ間を空けずに行うというが、自然を相手にしている以上、こうした予想外のことも避けられない(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)2005年8月のポスター。機転を利かせて枯れた花畑を効果的な演出に変えた。ロケハンと撮影はできるだけ間を空けずに行うというが、自然を相手にしている以上、こうした予想外のことも避けられない(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)

「コピーと写真のバランスが素晴らしいと思いました」と林さんが取り上げたのが、2009年10月のポスター。ニュージーランドで撮影されたもので、草原に放置された船と涼やかな青空の対比が印象的な写真です。「きれいとは言えない、捨てられた船のある風景です。この写真は、別のコピーをつけていたら全然違った印象になってしまっていたと思います。それだけ、写真とコピーの組み合わせは重要なのです」(河北さん)

2009年10月のポスター。「いかにも」な広告写真にはならないようにするというコンセプトのもと、「いいちこ」のボトルはあまり目立たないように配置されているが、それによりかえって印象的で記憶に残るポスターとなっている(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)2009年10月のポスター。「いかにも」な広告写真にはならないようにするというコンセプトのもと、「いいちこ」のボトルはあまり目立たないように配置されているが、それによりかえって印象的で記憶に残るポスターとなっている(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)

「TRANSIT」にも掲載されている「いいちこパーソン」の雑誌広告は「失恋」「一人旅」「孤独」などがテーマになっていて、河北さん自身が写真を撮影しています。林さんはこの広告からもお気に入りを挙げ、「一人旅をした時の自分の心情にはまる。寂しさもあるけれど、凛とした気持ちもある。でもやっぱり寂しくてお花があるところに行ってみたり。そういう素直な気持ちにマッチするものを選びました」(林さん)と紹介しました。

林さんが「一人旅をした時の心情にはまる」と紹介した「いいちこパーソン」の雑誌広告4点(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)
林さんが「一人旅をした時の心情にはまる」と紹介した「いいちこパーソン」の雑誌広告4点(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)
林さんが「一人旅をした時の心情にはまる」と紹介した「いいちこパーソン」の雑誌広告4点(画像提供:株式会社日本ベリエールアートセンター)

客席からの質疑応答の時間。「40年間ポスターのデザインを続けられてきて、変わらないことと変わったことを教えてください」と聞かれると、河北さんは時代の変化と自身の手掛けるポスターについて、次のように答えました。

「世の中の変化は敏感にとらえています。40年前と言えばバブル期ですし、2020年にはコロナ禍を筆頭として、世の中のあらゆることがガラッと変わってしまいました。時代が変わっても写真のイメージは変えずに、しかしコピーで世の中の変化を表現しています」

40年続くiichiko designの源には、河北さんの揺るがない信念と、その時代の動きをかぎ分ける感性があることを示す言葉でした。

「いいちこ駅貼りポスター」では、紙とインクを変えて毎回20種類ほどの試し刷りを出し、写真の色や質感などを理想に近づけていく。「雑誌では多くても紙を2種類試すかどうかなのに……」と林さんを驚かせた

「いいちこ駅貼りポスター」では、紙とインクを変えて毎回20種類ほどの試し刷りを出し、写真の色や質感などを理想に近づけていく。「雑誌では多くても紙を2種類試すかどうかなのに……」と林さんを驚かせた「いいちこ駅貼りポスター」では、紙とインクを変えて毎回20種類ほどの試し刷りを出し、写真の色や質感などを理想に近づけていく。「雑誌では多くても紙を2種類試すかどうかなのに……」と林さんを驚かせた

10月10日

フードカルチャー誌『RiCE』 × 「いいちこ」~焼酎のペアリング。食と楽しむ、「いいちこシルエット」~

「焼酎は自由に飲めるお酒です。おつまみでも果物でも好きなものを用意して、さまざまな組み合わせを試してみてください」(千葉麻里絵さん)

「焼酎のペアリング。食と楽しむ、『いいちこシルエット』」。千葉麻里絵さんと「RiCE」の稲田浩編集長「焼酎のペアリング。食と楽しむ、『いいちこシルエット』」。千葉麻里絵さんと「RiCE」の稲田浩編集長

ハイテーブルが並び、おしゃれな立ち飲み酒場のように演出したイベント会場。テーブルにはこの日のテーマ商品である「いいちこシルエット」のボトルと、茶色の液体の入ったプラカップが並びます。

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10月10日のイベントの進行を務めるのは、食を中心としたカルチャーやライフスタイルの情報誌「RiCE」の編集長・稲田浩さん。そして、西麻布の酒場「EUREKA!(ユリーカ)」のオーナー・千葉麻里絵さんがこのイベントのメインプレゼンター。千葉さんはあちこちでひっぱりだこの日本酒ソムリエで、焼酎にも多くの知見を持っています。

「焼酎のペアリング。食と楽しむ、『いいちこシルエット』」と題したこのイベントでは、「いいちこシルエット」の多様な飲み方と、さまざまな料理とのペアリングを千葉さんに提案していただきました。

参加者は各テーブル3名に振り分けられ、「いいちこシルエット」のボトルが1人に1本配られます。千葉さんから飲み方の紹介があるごとに、それぞれお好みの割合でドリンクをつくります。最初に稲田さん、続いて千葉さんが挨拶し、さっそくお二人を含めた全員でソーダ割りをつくって、稲田さんの「乾杯!」の音頭で和やかな時間が始まりました。

西麻布「EUREKA!」オーナーの千葉麻里絵さん西麻布「EUREKA!」オーナーの千葉麻里絵さん
「RiCE」編集長の稲田浩さん「RiCE」編集長の稲田浩さん

ペアリングとは、お酒と料理の組み合わせによって、双方の味や香りを引き立てる食の楽しみ方。千葉さんによると、ワインの場合は料理を食べてから残り香でワインを味わうのに対し、日本酒や焼酎の場合は、料理を咀嚼しながらお酒も口に含むのが特徴とのことです。

同じ「食中酒」でも、日本酒や焼酎の飲まれ方と、ワインの飲まれ方は微妙に違う同じ「食中酒」でも、日本酒や焼酎の飲まれ方と、ワインの飲まれ方は微妙に違う

「日本人はご飯と一緒におかずを食べますよね。口中調味というのですが、焼酎や日本酒はご飯と同じように料理を受け止めてくれるんです」(千葉さん)

その一例が、イベントのために千葉さんが用意した「塩辛セロリ」と、梅干し入りの「いいちこシルエット」のお湯割りのペアリングです。刻んで塩もみしたセロリに塩辛を和えた塩辛セロリがもつ塩味が梅干しとの“いい塩梅”をつくります。後からお湯割りに梅酢を加えることで、締まった味わいへの変化も楽しめます。

手前右が千葉さんお手製「白菜クミンの発酵漬け」。乳酸発酵した白菜の漬物に材料を和えるだけで、家庭でも簡単に作ることができる。「クミンシードには味の余韻を長くする効果があり、『いいちこシルエット』の喉ごしと相性がいいんです」(千葉さん)手前右が千葉さんお手製「白菜クミンの発酵漬け」。乳酸発酵した白菜の漬物に材料を和えるだけで、家庭でも簡単に作ることができる。「クミンシードには味の余韻を長くする効果があり、『いいちこシルエット』の喉ごしと相性がいいんです」(千葉さん)

ほかに白菜漬けにナンプラー、青唐辛子、クミンシードを加えた「白菜クミンの発酵漬け」と、「いいちこシルエット」のロックの組み合わせも紹介され、参加者からは「意外な味!」、「味が変わった! 美味しい!」などさまざまな声が聞こえてきます。

この日の一番人気だったのが、「いいちこシルエット」にスパイシーで甘みのある「AWAトクシマコーラ」を加えたソーダ割り。途中でかぼすを搾ったり、ブラックペッパーをひとつまみ入れたりという2回の味変もあり、斬新なカクテル体験となったようです。

手前のプラカップに入った茶色の液体が「AWAトクシマコーラ」。ゆず、すだち、阿波晩茶、クローブ、カルダモンなど10種類のスパイスやハーブから作られる徳島県産のクラフトコーラで、オンラインで購入可能手前のプラカップに入った茶色の液体が「AWAトクシマコーラ」。ゆず、すだち、阿波晩茶、クローブ、カルダモンなど10種類のスパイスやハーブから作られる徳島県産のクラフトコーラで、オンラインで購入可能
  • 会場にステージの設置はなく、千葉さん、稲田さんと参加者が一緒のお店で飲んでいるようなアットホームな雰囲気。「こんなに距離感の近いイベントは海外でもあまりない」と千葉さんが言うと参加者から「『いいちこ』ならでは!」と声が上がった
  • 会場にステージの設置はなく、千葉さん、稲田さんと参加者が一緒のお店で飲んでいるようなアットホームな雰囲気。「こんなに距離感の近いイベントは海外でもあまりない」と千葉さんが言うと参加者から「『いいちこ』ならでは!」と声が上がった
会場にステージの設置はなく、千葉さん、稲田さんと参加者が一緒のお店で飲んでいるようなアットホームな雰囲気。「こんなに距離感の近いイベントは海外でもあまりない」と千葉さんが言うと参加者から「『いいちこ』ならでは!」と声が上がった

「『いいちこ』はいろいろな飲み方のできる懐の大きいお酒なんですよね。シルエットの場合は、この青リンゴのような爽やかな香りを大事にしながら楽しむといいと思います」(千葉さん)

毎月、海外でもペアリングのセミナーを開催しているという千葉さん。日本酒や焼酎の人気は各国で高まっているそうです。また、見知らぬ街を歩いていると、不意に食べ物や自然の香りが漂ってきて、そこからペアリングのインスピレーションを得ることもよくあるのだとか。

「今回はスパイスやソースで相乗効果を出すことができました。みなさんもおつまみでも果物でも好きなものを用意して、さまざまなペアリングに挑戦してみてください」(千葉さん)

10月11日

スーパーな夜@iichiko Design Week 2024~スーパーなDJと過ごす、スーパーな夜~

DJと「いいちこスーパー」オリジナルカクテルのコラボレーション

「いいちこスーパー」の限定デザインボトル発売に合わせ、2024年6月から1年にわたって、東京・渋谷を中心としたナイトクラブで三和酒類が提供する音楽イベント「スーパーな夜」。「いいちこスーパー」をベースにしたカクテルを提供するイベントとして好評を博しています。

「iichiko Design Week 2024」期間中の金曜日、10月11日にはトップバーテンダーが「いいちこスーパー」を使ったオリジナルカクテルを提供。これに合わせて会場内の各階にDJブースを設け「スーパーな夜」を開催しました。メインDJの大沢伸一さんが「iichikoを知る」エリア内ホールのステージに立つと、フロアの違う「iichikoを体験する」エリアにある“iichiko Special Bar「いいちこスペシャルBar」”からも、カクテルを手に多くの観客が詰めかけて、音楽に酔いしれました。

メインDJの大沢伸一さんメインDJの大沢伸一さん

10月12日

官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験~五感で味わう「いいちこ」テイスティング~

「いいちこ」の品質管理、商品開発の工程を体験できる講習会

「iichiko Design Week 2024」最終日の10月12日のイベントは、官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験~五感で味わう「いいちこ」テイスティング~と題し、三和酒類の社員の進行で、品質審査と原酒ブレンドをデモ体験していただく講習会です。

始めに、司会から三和酒類の品質管理体制と官能評価パネリストについての説明をして、官能評価体験を始めました。

官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験

三和酒類のお酒は、ボトルへ充塡(じゅうてん)する前と出荷前に、人による官能評価を行っています。年に1回行う官能評価審査会の成績上位者が「官能評価パネリスト」となり、数値に出ないお酒の微妙な味わいなどを検査します。

「官能評価パネリスト体験」では、官能評価審査会で行うのと同様のテストを、参加者に体験していただきます。参加者が着いた長机には、A~Eのアルファベットが付された5つのプラカップが並び、それぞれ甘味、酸味、塩辛味、苦味、無味の5つの味がついた透明の液体がランダムに置かれています。

官能評価パネリスト体験に使われた5つの味の液体官能評価パネリスト体験に使われた5つの味の液体

これらを実際に口に含み、当てはまる味を解答欄に書き込んでいくテストです。参加者は、同行者の答案をのぞき込んだりして、楽しみつつ真剣に悩みながら答えを書き込んでいきます。

答えを書き込む様子は真剣そのもの答えを書き込む様子は真剣そのもの

いいちこ日田蒸留所 所長の浦中直也から、このテストは「我々三和酒類の社員でも全問正解できる者は多くないです。お酒好きの人の方が間違えやすいみたいです」、「舌の上だけでなく、舌の裏側や頬の裏側も使ってテイスティングすると、より分かりやすくなる味もありますよ。特に苦味と無味の識別が難しいです」などと助言が添えられると、参加者に笑いがこぼれて会場の緊張がほぐれたようでした。

全問正解者は全体の2割程度。全問正解した方には、場内のポップアップバー“iichiko Special Bar「いいちこスペシャルBar」”で供されるトップバーテンダーによるオリジナルカクテルの無料チケットをプレゼントしました。

後半パートは「原酒ブレンド体験」です。まずは浦中が「いいちこ」の製造工程から、その美味しさの秘訣について説明します。

いいちこ日田蒸留所 所長の浦中直也と、司会進行を務めた西村葉月いいちこ日田蒸留所 所長の浦中直也と、司会進行を務めた西村葉月

焼酎の製造工程の後半に、蒸留、貯蔵、ブレンドがあります。発酵の終わったもろみを加熱することで原酒を取り出す「蒸留」、その原酒を寝かせて味や香りを落ち着かせる「貯蔵」、そして、蒸留方法や貯蔵方法と期間を変えて異なる個性を持たせた数種類の原酒を配合し、商品の味を決めるのが「ブレンド」の工程です。

今回のブレンド体験では、大気圧下でもろみを加熱し蒸留した「常圧蒸留酒」と、空気を抜いた蒸留器の低い沸点で蒸留した「減圧蒸留酒」、それから蒸留した原酒を木樽で貯蔵熟成した「長期熟成貯蔵酒」という、3種類の原酒のブレンドを体験していただきました。

イベントで使われた、原酒の味わいが楽しめるボトル3本セット。いいちこ日田蒸留所で販売しているイベントで使われた、原酒の味わいが楽しめるボトル3本セット。いいちこ日田蒸留所で販売している
常圧蒸留酒、減圧蒸留酒、長期熟成貯蔵酒(樽酒)それぞれの味わいの特徴(ブレンド体験で参加者に配布した資料の一部より)常圧蒸留酒、減圧蒸留酒、長期熟成貯蔵酒(樽酒)それぞれの味わいの特徴(ブレンド体験で参加者に配布した資料の一部より)

参加者が1セットずつ配布された、「常圧」「減圧」「樽」の3種類の原酒の味わいが楽しめる商品のボトルから、それぞれカップに注いで味と香りの個性を確かめた上で、自身のお好みでブレンドした自分だけの「いいちこ」をつくっていただきました。

細かく目盛で計ってつくる人がいたり、飲みながら目分量でブレンドする人がいるなど、参加者はめいめいの楽しみ方でブレンドを体験していました。ひととおりブレンドが出来上がると、登壇者の浦中も一緒に、皆で乾杯です!

  • 官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験
  • 官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験
  • 官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験

質疑応答のコーナーでは、「いいちこ」の製造工程や商品開発、さらにポスターやボトルのデザインについてなど、多岐にわたる質問が挙がりました。いろいろな部署の担当者にマイクが渡され、持ち回りで答えていくというコミカルな場面も見られ、三和酒類の社風が垣間見えるような和やかな雰囲気でイベントは締めくくられました。

官能評価パネリスト&原酒ブレンド体験

今回の展覧会では、各エリアでの展示を通して、これまでの「いいちこ」の歩みや、「いいちこ」のこれからの新たな挑戦を紹介し、また各日開催したイベントにおいても、さまざまな視点で「いいちこ」を切り取りました。「いいちこ」の知られざる多様な魅力に触れる機会として、たくさんの方々がお楽しみいただく姿を見ることができました。