三和酒類は2024年10月8日(火)から12(土)まで5日間にわたり、東京・渋谷で、「iichiko Design Week 2024」を開催しました。「いいちこ」の駅貼りポスターをはじめ、ボトルデザインやその他の広告デザインなどの「iichiko design」が40周年を迎えたことを記念して開催するこの大規模展覧会。開幕前日の10月7日(月)、酒類の流通・販売や飲食業界の関係者、報道関係者など約400人をお招きして、レセプションパーティーを催しました。
地下鉄・渋谷駅から渋谷ストリームホールに向かう間の通路となる渋谷スクランブルスクエアにもイベントを告知するサイネージや装飾を施した
「iichiko Design Week 2024」の会場は、JRや地下鉄などの渋谷駅に直結する渋谷ストリームホール。三和酒類 社長の西和紀(にし・かずのり)が和装のいでたちで登壇し、あいさつの中で本イベントの主旨を次のように説明しました。
「今回は『いいちこ』のブランドデザイン40周年を記念する展覧会です。1984年に始まり、駅貼りポスターや、ボトルデザインなどを通じて、『いいちこ』がどのように進化してきたのかを展示しています。この40周年という節目に、『これまでのiichiko、これからのiichiko』をテーマとして、これまでに開催してきた『iichiko design展』よりも展示内容を拡大しました。さらに、新しい試みとして、実際に『いいちこ』を味わいながら、その魅力に触れていただける体験を提供しています。視覚や味覚といった感覚を通じて『いいちこ』の魅力を存分に感じていただければ幸いです」(西)
さらに西は焼酎の今後についても次のように語りました。「日本の麹文化の粋を尽くした蒸留酒である焼酎は、新しい存在意義を得るべきです。世界に通用する蒸留酒は、ウイスキーやブランデー、ラム、ウオッカ、ジン、テキーラとありますが、今こそ麹(こうじ)でできた和のスピリッツを世界に問うべきです」(西)
この西の言葉を受ける形で、海外市場のマーケティングを担当する三和酒類 営業本部グローバルマーケティング室 室長の宮﨑哲郎(みやざき・てつろう)が登壇。2025年に国内発売する「iichiko彩天」について説明しました。
宮﨑は2014年に駐在員として渡米。「いいちこ」が世界の蒸留酒として米国での存在感を高めていくために必要なことは何か、世界での「いいちこ」の価値とは何かを探り、奔走してきました。
その中で、日本の「お酒を割って薄める」という割り算の考え方に対し、米国のカクテル文化には「良いお酒を掛け合わせることでより美味しくなる」という掛け算の考え方があることに気づきます。そこで2019年、「いいちこ」の魅力にさらに磨きをかけて、麹由来の美味しさを持ちながらカクテルのベースとしても提供できる商品として、「iichiko彩天」を開発、米国市場で販売開始しました。
そして「いいちこ」のこれからの展開についても言及。「2025年には『iichiko彩天』はデザインを一新して、バーシーンの中でバーテンダーの方々により使いやすく、店内のビジュアルにも映えるボトルで新登場します」(宮﨑)と発表。日本の国菌である麹を使った本格麦焼酎「いいちこ」を世界にアピールする新しいスピリッツの第一弾として、「iichiko彩天」の新しいボトルを壇上で力強く掲げてご来場の皆様にお披露目いたしました。
この後、ダンサーのアオイヤマダさんとパーカッション奏者のスティーヴ エトウさんが登壇。「iichiko彩天」をイメージしたパフォーマンスを披露して、来場者の目と耳を楽しませてくれました。
「iichiko彩天」をイメージした衣装を身にまといパフォーマンスを披露するアオイヤマダさん。パーカッション奏者スティーヴ エトウさんの演奏も会場に響き渡った
続いて、展示スペース「iichikoを体験する」エリアに目を移しましょう。ここには“iichiko Special Bar「いいちこスペシャルBar」”がオープン。会期中には「いいちこ」を使った日替わりの限定カクテルを味わっていただき、また、「いいちこ」ブランドの13商品の飲み比べをしていただけるコーナーです。
レセプションパーティーのこの日は特別に、限定Bar「Angel’s Story × iichiko彩天」と題して、「iichiko彩天」をベースにしたカクテルを提供いたしました。ニューヨークの伝説的バー「Angel’s Share」からビバレッジダイレクターの中山敦史(なかやま・あつし)さんとヘッドバーテンダーの今田恒孝(いまだ・つねたか)さんをNYからお招きし、腕を振るっていただきました。
さらに、特別ゲストバーテンダーとして、「Angel's Share」から羽ばたき、世界的に活躍する「SG Group」ファウンダーの後閑信吾(ごかん・しんご)さんと、NYの人気店「Martiny’s」など3店舗を運営する渡邉琢磨(わたなべ・たくま)さんも加わり、バーカウンターに入っていただきました。「Angel's Share」の “OB”と“現役”バーテンダーの夢の競演「Angel’s Story」の実現です。「Angel's Share」のオーナーの好田絵里奈(よしだ・えりな)さんもNYから駆けつけてくださり、バーテンディングを見守っていらっしゃいました。
10月8日から12日までの会期で開幕した「iichiko Design Week 2024」。iichiko designの40周年を記念するこの展覧会は、「いいちこ」のブランド価値やメッセージを、グラフィックスやプロダクトデザインの展示、デジタルを絡めた新しい飲酒体験などを通じてお伝えするものです。会場は「iichikoに触れる」「iichikoを知る」「iichikoを体験する」の3つのエリアで構成しており、周遊する中で五感を通じて「いいちこ」の魅力を感じられる仕掛けをお客様に楽しんでいただきました。
会場に入ると、まず「iichikoに触れる」のエリア。「いいちこ駅貼りポスター」の展示コーナーでお客様をお迎えします。
現在では毎月1回、さらに年1回のクリスマス仕様を加えて年間13回、地下鉄の各駅構内を中心に掲出している駅貼りポスター。1984年の掲出開始からののべ点数は2024年10月時点で522点にのぼります。その中から、40周年にちなんで40点を厳選し、iichiko designの軌跡を紹介しました。それぞれのポスターに時代背景や撮影時の情報、印刷方法の特記事項なども付記し、お客様にはポスターの美しい写真と印象的なコピーと共にご鑑賞いただきました。
現在も月に1点とクリスマス時期に1点、年間13点のペースで新たな駅貼りポスターをつくり続けている
またこのエリアにはスーベニアストアも設置。「いいちこパーソン」の限定デザインボトルを含む、11種類の「いいちこ」を販売いたしました。
続くエリアは「iichikoを知る」。世代を超えて愛されてきた本格麦焼酎「いいちこ」の製造工程や商品開発の裏側、またプロダクトデザインについて深掘りした情報を知っていただくスペースです。
「いいちこ」各種のボトルの実物と巨大なボトルグラフィックを展示した一角は、“iichiko Products「いいちこボトルデザイン」”コーナーです。全14種類の「いいちこ」それぞれのボトルの美しさやデザインのディテールを見ていただくと同時に、設計哲学や開発の裏話などを掲示して、「いいちこ」のボトルデザインをじっくりと堪能できる展示としました。
“iichiko Products「いいちこボトルデザイン」”。「いいちこ」の各種ボトルの実物と拡大写真を展示
レセプションパーティーが行われたホールには、“All About iichiko「いいちこ大全」”と題した立て看板型のパネル展示をご用意しました。焼酎づくりにまつわる麹のこと、歴史や製法、基礎知識などをイラストと解説文で分かりやすく構成してご覧いただきました。
また、さまざまな分野で活躍する著名人に「いいちこ」への思いを語っていただいた“iichiko and Me「わたしといいちこ」”の写真パネルも、このホールに展示いたしました。河北秀也さん、小倉ヒラクさん、千葉麻里絵さんといった「iichiko Design Week 2024」のトークショー(本レポート後編で詳述)などにもご登壇いただいた方々をはじめ、俳優、アスリート、バーテンダーなど、国内外、ジャンルを問わず各界のエキスパートの皆様からコメントを寄せていただき、幅広く「いいちこ」が愛されていることを伝えました。
立て看板型パネル展示“All About iichiko「いいちこ大全」”。焼酎の歴史や製造工程などを分かりやすく解説
“iichiko and Me「わたしといいちこ」”。こちらも「iichiko design」40周年にちなみ、40名の著名人からのコメントをピックアップ
最後は「iichikoを体験する」エリア。デジタルを絡めたさまざまな演出で、ここまで振り返ってきた「いいちこ」を新しい形で体験できるスペースです。壁面から天井にかけて酒蔵のシズル感をイメージした水の映像を投影し、3つのモニターには「いいちこ」の駅貼りポスターを代わる代わる映し出して、「いいちこ」の世界観をお客様にじっくりご鑑賞いただきました。
会期中は日ごとにテーマとなる「いいちこ」商品を設定しました。10月8日は「いいちこフラスコボトル」、9日は「いいちこパーソン」、10日は「いいちこシルエット」、11日は「いいちこスーパー」、12日は「いいちこスペシャル」です。ポップアップバー“iichiko Special Bar「いいちこスペシャルBar」”では、腕利きのバーテンダーにその日のテーマの「いいちこ」で絶品のカクテルをつくっていただき、販売いたしました。
また、バーカウンターに向かって左側には「飲み比べコーナー」を設けました。ドリンクパスをご購入いただいて、ふだん家では飲む機会が少ない「iichiko 40」や「いいちこフラスコボトル」、「いいちこ深薫」なども含めて13種類の「いいちこ」を飲み比べていただきました。飲み方もストレートや水割り、炭酸割りなどお好みで。カウンター横には連日、カクテルや「いいちこ」飲み比べの順番を待つ人の行列ができるほどのご好評をいただきました。
ドリンクのご購入者には、その日のテーマの「いいちこ」商品に合わせた和菓子もご提供いたしました。岩手発で新しい和菓子体験を追求する「芽吹き屋」との共創企画で、「いいちこ」と和菓子のペアリングの提案です。意外なコラボレーションということもあってこの試みにもご好評をいただきました。
〈日替わり限定で提供された「日比谷Bar」のカクテル〉
〈日替わり限定で提供された「Angel's Share」のカクテル〉
〈日替わり限定で提供された「Martiny’s」のカクテル〉
〈日替わり限定で提供された「The SG Club」のカクテル〉
〈日替わり限定で提供された「Bar BenFiddich」のカクテル〉
ここで再び「iichikoを知る」エリアに戻ります。このエリア内にあるホールでは、日替わりで限定イベントを開催しました。その日のテーマである「いいちこ」商品にフォーカスして、麹や発酵の知識に関するトーク、iichiko designの制作秘話、「いいちこ」の美味しい飲み方などの楽しいレクチャーや実演会を展開しました。
10月8日は、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんをお招きして、「『いいちこ』の個性を紐解くCOZY TALK!&甘酒・塩麹テイスティング体験」を開催。トークパートナーとして登壇した三和酒類 三和研究所 本部長の林圭との掛け合いで麹や焼酎の世界を分かりやすく紐解いてくれました。
10月9日はiichiko designの生みの親である河北秀也さん(東京藝術大学名誉教授)が「デザインと旅を繋ぐ風景」というテーマで登壇。対談相手には旅行雑誌「TRANSIT」の林紗代香編集長があたり、河北さんに、「いいちこ」のポスター撮影時の裏話も交えて楽しいエピソードをお話しいただきました。
10月10日は「焼酎のペアリング。食と楽しむ、『いいちこシルエット』」と題して、日本酒ペアリングの第一人者、千葉麻里絵さんが登壇。フードカルチャー誌「RiCE」の稲田浩編集長が進行役となり、「いいちこ」をより美味しくお飲みいただくためのおつまみの工夫などを、実際に参加者の皆さんと一緒に「いいちこシルエット」を飲みながら解説していただきました。
10月11日は、これまでとは色合いが変わり、音楽イベントをご提供しました。題して「スーパーなDJと過ごす、スーパーな夜」。大沢伸一さんをはじめ人気DJをお招きして、各階にDJブースを設置。各エリアでグラスを片手に、小気味いいビートの効いたサウンドに酔いしれていただきました。
最終日、10月12日の参加型イベントのテーマは、「五感で味わう『いいちこ』テイスティング」。三和酒類の社員が進行役を務め、参加いただいた方々には自らの味覚をチェックする「官能評価パネル」を体験していただきました。さらに、実際に「いいちこ」の原酒の味わいを楽しめる商品を使って、ブレンドの妙を体験していただきました。
お昼時には受付の横で「日替わりスーパー弁当」が販売されました。食材を使ってボトルの形を表現するというユニークな「いいちこスーパー」の雑誌広告は、1994年から「芸術新潮」に掲載され、第63回「日本雑誌広告賞」(2021年)のシリーズ広告部門で金賞を受賞しています。
「日替わりスーパー弁当」はこの特徴的な広告をモチーフにしたお弁当で、映画や舞台のバックヤードのお弁当やケータリングなどで人気を集める弁当店「chioben」とのコラボレーションによりつくられました。斬新なアイデアと「いいちこスーパー」の広告の世界観が融合したiichiko designを、視覚だけでなく味覚の方からも楽しんでいただきました。読者の皆様は目でご賞味ください!
駅貼りポスターやボトルデザイン、麹や発酵による焼酎づくりの世界、さらに「いいちこ」のさまざまな楽しみ方を紹介した各種展示により、「いいちこ」のこれまでとこれからに触れ、知り、体験していただいた今回の展覧会。飲むことはもちろん、デザインを含めた酒づくりの背景を知ることでも、「いいちこ」を楽しんでいただくきっかけとなれば幸いです。日替わりのトークショーなどのイベントの内容は「イベントレポート/『iichiko Design Week 2024』【後編】 『いいちこ』のさまざまな魅力をトークショーや体験型イベントで発信」で詳しくご紹介します。どうぞご覧ください。