きじまりゅうた「複数種類をブレンドしても美味しい、酢を使ったレシピ」

はじめての発酵食レシピ Vol.19複数種類をブレンドしても美味しい、酢を使ったレシピ

料理研究家きじまりゅうた

身近な素材をちょっとしたコツで最高の味に仕上げるきじまりゅうたさんのレシピ。家庭的で、お惣菜としてもおつまみとしても楽しめるのが特長です。今回の発酵素材は酢。2種類の酢を使い分け、見た目にもきれいなピクルスと、朝ごはんにもぴったりで簡単にできるシェントゥジャン(台湾風豆乳スープ)のつくり方を教えていただきます。

料理:きじまりゅうた / 構成:森綾 / 写真:小林みのる

世界中で欠かせない発酵食品。スーパーでもいろんな種類の酢が並ぶように

一般的な白い酢(米酢、雑穀酢など)のほかに、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーにバルサミコ酢。中国の香酢(こうず)、赤酢。世界中にいろんな酢があります。スーパーでもさまざまな酢が簡単に手に入るようになりました。おおむね、日本の酢は糖質を含む原料を酵母によってアルコール発酵させ、その後、酢酸菌などを加えて酢酸発酵させたもの。

最近は玄米でつくった黒酢を使っている家庭も増えてきているのでは。米酢や雑穀酢といった白い酢の方がつーんとした香り、酸味が強く、これに対して黒い酢は酸味がまろやかで独特の香りがします。りんごなどフルーツでつくった酢や、中国の香酢はさらにまろやかです。

酢は複数種類を混ぜても美味しい

とはいえ、日本の一般的な家庭では黒酢より白い酢のほうが使用頻度が高いでしょう。買ったはいいけれど、黒酢は余りがちな家庭も多いかもしれません。実は酢を複数種類混ぜて使うと風味が複雑になって美味しいんです。

今回のピクルスのレシピでは黒酢をベースに米酢を少しブレンドしました。酸味の強い米酢で味が引き締まります。僕は餃子を食べるとき香酢を使いますが、それだけだと物足りなくて、米酢を混ぜたりもします。ブレンドの美味しさ、楽しさを覚えると、黒酢もさまざまに生かせます。

黒酢(左)、米酢(写真:三井公一)黒酢(左)、米酢(写真:三井公一)

腹持ちと栄養価、満足度の高い豆入りピクルス

今回「黒酢ピクルス」には豆を入れたのですが、ちょっと珍しいでしょう。実は僕、とかち観光大使をやっていて、毎年北海道の十勝*に通っているんです。十勝は小豆で有名ですが、豆の生産量がすごいんですよ。生産量1位の北海道のなかで、ほとんどが十勝産の小豆です。*十勝:十勝地域は北海道東部、1市16町2村で構成されている。

それだけに、十勝では豆の食べ方がすごく研究されていて、お土産で豆のピクルスがあるんです。食べてみたらとても美味しい。植物性たんぱく質もしっかり摂れますし、腹持ちもいいので、ダイエットしている人にもいいんじゃないかな。

瓶は100円ショップで売っているものを使いました。煮沸消毒して使ってください。きれいな色の野菜を詰めて、持ち寄りのご飯会などのおもたせにしても喜ばれそうですよ!

もう1品は台湾で人気の朝ごはん「シェントゥジャン(台湾風豆乳スープ)」。あたためた豆乳を酢に注ぐとおぼろ豆腐状に固まるのが面白いスープです。とろとろでまろやか、あたたかいスープで1日を始めましょう。

発酵食RECIPE

黒酢ピクルス

黒酢ピクルス

▼材料(つくりやすい分量)

蒸し大豆かミックスビーンズの缶詰・・・200g

パプリカ(できれば赤と黄色合わせて)・・・1個分

きゅうり・・・1本

大根(先の細い部分)・・・8〜10cm

〈A〉

黒酢・・・100ml

米酢・・・大さじ2

砂糖・・・大さじ5

塩・・・小さじ1

唐辛子(輪切り)・・・2本

黒粒胡椒・・・5〜6粒

黒酢ピクルスの材料
▼作り方
  1. 〈A〉をひと煮立ちさせて、冷ましてピクルス液をつくっておく。
  2. パプリカは縦に1cm幅に切る。きゅうりは縦に4つ割りに切って、種の部分を削ぎ切りし、横3等分に切る。大根もその太さと長さにそろえて切る。
  3. 2の具材と豆を乾いた清潔な瓶に入れ、ピクルス液をゆっくり注ぎ、半日以上おく。
黒酢ピクルスの作り方
シェントゥジャン(台湾風豆乳スープ)

シェントゥジャン
(台湾風豆乳スープ)

▼材料(2人分)

無調製豆乳
(できれば大豆固形分10%以上のもの)・・・300ml

細ねぎ・・・2本

ラー油・・・少々

(あれば)油麩・・・好みの量

〈A〉

桜えび・・・小さじ2

かつおぶし・・・2g

味つきザーサイ・・・3枚

〈B〉

黒酢・・・小さじ2

ごま油・・・小さじ1

塩・・・小さじ1/4

黒胡椒・・・少々

シェントゥジャン(台湾風豆乳スープ)の材料
▼作り方
  1. 細ねぎを小口切りにする。〈A〉のザーサイはみじん切りに、桜えびは粗くつぶし、かつおぶしは揉んで粉末状にしておく。
  2. (2人分なので)2つの器に〈A〉の具材と〈B〉の調味料を等分に分けて入れる。
  3. フッ素樹脂加工の鍋(なければ普通の鍋)に豆乳を入れて火にかけ、煮立つ直前まで温めてそれぞれの器に分けて入れる。
  4. 熱いうちによくかき混ぜ、あれば油麩を好みの量だけ載せ、細ねぎとラー油をかけていただく。
シェントゥジャン(台湾風豆乳スープ)の作り方

PROFILE

きじまりゅうた

祖母と母が料理研究家という家庭で育つ。幼い頃は肥満児。高校時代はアメリカンフットボールに熱中し、大学在学中にアパレルメーカーに就職。20代前半は服飾ブランドのディレクターを務める。その後、母(料理研究家・杵島直美)のアシスタントになり5年間の修行を経て28歳で独立。修行時代からの目標だった番組「きょうの料理」(NHK)に29歳で初出演。「あさイチ」(NHK)や旅番組出演のほか、全国での料理教室やイベント・講演会などにも多数出演。2016年、「きじまりゅうたの小腹がすきました!」(NHK)がスタートし、さらに活動の幅を広げている。楽しく分かりやすいトークとオリジナリティーあふれる料理をモットーに男性のリアルな視点から考えた「若い世代にもムリのない料理」の作り方を提案している。趣味はサーフィン、山歩き、ブラックミュージックを中心とした音楽鑑賞。いまはジビエにも興味津々。