きじまりゅうた「赤味噌と白味噌、それぞれの味わいを楽しむレシピ」

はじめての発酵食レシピ Vol.18赤味噌と白味噌、それぞれの味わいを楽しむレシピ

料理研究家きじまりゅうた

料理イベントなどで日本全国を回り、各地の食文化にも詳しいきじまりゅうたさん。発酵食文化として各地にしっかりと息づいている味噌(みそ)についても、その美味しい活かし方を研究されています。土地ごとにいろんな味噌がありますが、今回は、どこででも手に入りやすい味噌を使ったレシピを教えていただきます。

料理:きじまりゅうた / 構成:森綾 / 写真:小林みのる

味噌自慢はお国自慢。その土地、その土地に息づく味噌が

味噌は、土地ごとにしっかりと根を下ろしている食材。「味噌と野球の話はしちゃいけない」と言われるくらい、お国自慢の種になるものです。米麹(こうじ)を使うのか麦麹を使うのかといった素材の違い、入れる麹の量や塩の量の違いで、風味のまったく違う味噌ができるのですから、とても興味深いですね。

僕自身は東京育ちですが、祖母の両親は新潟の人だったので、我が家は越後系の味噌なのかもしれません。関東でポピュラーな信州味噌と作り方と味もほぼ同じです。今も、毎年、多少は手前味噌も作るようにしています。熟成すると、どんどん色は茶色くなります。熟成にかけた年数によって風味が変わってくるのも味わい深いものです。

赤味噌と白味噌はこう違う。白味噌は独特な甘味とまろやかさを楽しんで

今回は、数ある味噌から、関東で一般的に信州味噌と呼ばれる関東赤味噌と京都の西京(さいきょう)味噌と呼ばれる白味噌を選んで使いました。どちらも、大豆に米麹と塩を混ぜて発酵させたものですが、西京味噌は信州味噌に比べると麹の量が多く、塩分量は少なく作られています。甘味が強く、上品な味に仕上げたい料理に向いています。

今回は、この西京味噌を使って乳製品がダメな人でも食べられる、まろやかな甘さのあるカルボナーラにしてみました。食べるとクリーミーで、「牛乳入っていないんですか?」と聞かれるくらいです。冷めると味噌が固まりやすいので、熱々で召し上がってください。

一方の信州味噌は貯蔵の期間も長く、庶民的。今回はサバを使った味噌煮風の料理を紹介します。

信州味噌(関東赤味噌)(左)と西京味噌(白味噌)(右)信州味噌(関東赤味噌)(左)と西京味噌(白味噌)(右)

サバの味噌煮が苦手な人も絶対に成功する「ゆでサバ」

「サバの味噌煮」は案外難しいという人が多いですね。煮詰め過ぎてしょっぱくなったり、逆に火の通りが悪かったり。そこで誰でも簡単に作れる方法として、先にサバを低温でゆでて、練り味噌をかけるという作り方をご紹介します。こうすることで、調味料の量も抑えられます。また、先に低温でゆでると、煮過ぎて調味料の浸透圧で魚の味が抜けてしまうことがありません。

魚の先ゆでは、食べやすいし、作り方も楽。今回のように練り味噌だけではなく、醤油と生姜、梅干しを煮たものをかければ梅煮風にもアレンジできます。タレの種類でバリエーションが増えるのもいいところです。実は魚の生臭さが出る温度は、ぼこぼこと沸騰する高い温度なんです。急激な温度変化は皮もはがしてしまいますが、低温で火を入れるときれいなまま。いいことづくめの「先ゆで」、ぜひやってみてくださいね。

発酵食RECIPE

ゆでサバの味噌煮風

ゆでサバの味噌煮風

▼材料(2人分)

サバ・・・2切れ

しょうが・・・1片

細ねぎ・・・6本

サバをゆでた汁*・・・大さじ4* ゆで汁は捨てないでとっておく

〈A〉

酒・・・大さじ3

水・・・100ml

〈B〉

関東赤味噌・・・大さじ2と1/2

砂糖・・・大さじ1と1/2

みりん・・・大さじ1

醤油・・・大さじ1/2

ゆでサバの味噌煮風の材料
▼作り方
  1. サバはフライパンに入る大きさに切り分け、身の厚い部分の皮には切れ目を入れる。
  2. 26cmフライパンに3cm深さまで水1ℓ(分量外)を入れ、火にかけて沸かし、一度火を止めて〈A〉を入れてかき混ぜて温度を下げ、皮を上にしてサバを入れる。煮立たないようにごく弱火にかけて5分煮る。
  3. 細ねぎは7〜8cm長さに切る。しょうがは皮をむいてごく薄切りにする。
  4. 2でできたサバのゆで汁大さじ4と、〈B〉を混ぜてタレを作っておく。
  5. サバの汁気を切って、器に盛る。
  6. サバをゆでた残り湯で細ねぎをさっとゆでて、サバに添える。
  7. 湯を捨てて空いたフライパンに、しょうがと4のタレを入れて煮立て、ゆるくとろみがついたら、サバにかける。
ゆでサバの味噌煮風の作り方
白味噌のカルボナーラ

白味噌のカルボナーラ

▼材料(2人分)

スパゲティ・・・200g

春菊・・・50g

ブロックベーコン・・・60g

卵黄・・・2個

白味噌・・・大さじ4

スパゲティのゆで汁*・・・100ml* ゆで汁は捨てないでとっておく

無調製豆乳・・・100ml

オリーブオイル・・・大さじ2

白味噌のカルボナーラの材料
▼作り方
  1. ベーコンは5mmの細切りにする。春菊は4cmの長さに切る。
  2. 並行して熱湯でスパゲティをゆでる。ゆで上がりの30秒前に春菊を入れ、時間になったらざるに上げる。ゆで汁は捨てないでとっておく。
  3. フライパンにベーコンとオリーブオイルを入れて火にかけ、ベーコンから脂が出てきたら、スパゲティのゆで汁で伸ばして火を止める。そこへ白味噌を入れて溶く。
  4. フライパンを再び火にかけ、豆乳と2のスパゲティと春菊を入れてかき混ぜ、全体が温まったら器に盛る。
  5. スパゲティの真ん中にくぼみをつけて、卵黄をのせる。好みで胡椒(分量外)を振り、卵黄を混ぜていただく
白味噌のカルボナーラの作り方

PROFILE

きじまりゅうた

祖母と母が料理研究家という家庭で育つ。幼い頃は肥満児。高校時代はアメリカンフットボールに熱中し、大学在学中にアパレルメーカーに就職。20代前半は服飾ブランドのディレクターを務める。その後、母(料理研究家・杵島直美)のアシスタントになり5年間の修行を経て28歳で独立。修行時代からの目標だった番組「きょうの料理」(NHK)に29歳で初出演。「あさイチ」(NHK)や旅番組出演のほか、全国での料理教室やイベント・講演会などにも多数出演。2016年、「きじまりゅうたの小腹がすきました!」(NHK)がスタートし、さらに活動の幅を広げている。楽しく分かりやすいトークとオリジナリティーあふれる料理をモットーに男性のリアルな視点から考えた「若い世代にもムリのない料理」の作り方を提案している。趣味はサーフィン、山歩き、ブラックミュージックを中心とした音楽鑑賞。いまはジビエにも興味津々。