料理研究家きじまりゅうた
文:きじまりゅうた / 写真:木村文平
日本の食には発酵食品がいっぱいです。かつおぶしもその一つ。生のかつおは3枚におろして洗われ、煮た後、焙乾(ばいかん)*1。その後、カビ付けして発酵させるという大変な工程を経て、かつおぶしになります。*1 焙乾:薪をくべて燻(いぶ)し、熱しながら乾燥させる工程。かつおぶしづくりではこの作業を何回も繰り返す。
かつおぶしはだしをとる食材として使われることが多いですが、そのまま食べてもぎゅっとうまみが凝縮されていて美味しいものです。そこで今回はかつおぶしを食材としていただくレシピを考えてみました。乾燥した魚の一部、しかも骨は取り除いてあるのですから、保存できる発酵食材として、もっともっと食べてほしいと思っています。
もちろん、本枯節(ほんかれぶし)*2のかつおぶしを専用の削り器で削ったものの味は最高ですが、今は削り器のある家庭も少ないでしょう。スーパーに行くと、細かい削りぶしのパックや、「花がつお」と呼ばれるフワフワとした大きな削り方のものなどが売られています。*2 本枯節 : 焙乾工程の後、天日干し、カビ付けを3~4回以上繰り返したかつおぶし。表面が薄くカビに覆われて長期保存に向いており風味が良い。カビ付けしないものを「荒節」という。
これは用途に合わせて違う削り方のものを使いましょう。例えば、細かく削ったかつおぶしはうまみが出やすく、具となじみやすいので、和えたり、だしを兼ねた食材のようにいただく。また、花がつおはツナ缶の感覚で、具材として楽しめます。
今回は2品考えました。「かつおぶしで海苔たまふりかけ」は、じっくり打ち出しの雪平鍋で具材を炒りました。時間はかかりますが、こうすることで水分がしっかりと抜け、よりふりかけらしい食感になります。テフロン加工された鍋だと水分が飛びづらいので少ししっとり感が残りますが、こちらでも問題ありません。このふりかけは、だしをとった後のかつおぶしでもできます。もったいないですからね。
もう1品は、かつおぶしをツナ缶の感覚でいただく「おかかマヨネーズオープンサンド」です。水分が入ると、乾いた魚の身が元の魚の身のようになるのが楽しい。ツナ缶のツナはまぐろやかつおなどのフレークですが、そんな魚のフレークが乾いたものがかつおぶし、と考えると、料理の幅が広がります。
タンパク質が摂れて朝ごはんにもいいし、もちろんおつまみにもなりますよ。いろいろな料理に使えるかつおぶし、ぜひ常備してくださいね。
かつおぶし・・・10g
だし昆布・・・10cm
卵・・・2個
白いりごま・・・大さじ1
焼き海苔・・・1枚
〈A〉
砂糖・・・大さじ1/2
塩・・・少々
サラダ油・・・小さじ1/2
〈B〉
醤油・・・大さじ1
砂糖・・・大さじ1/2
だし汁(水でもよい)・・・大さじ3
食パン・・・6枚切り2枚
かつおぶし・・・10g +トッピングに適量
マヨネーズ・・・大さじ3〜4 +トッピングに適量
きゅうり・・・1本
塩・・・小さじ1/4
粗挽き黒こしょう・・・少々
〈A〉
酢・・・小さじ2
砂糖・・・少々
塩・・・少々
PROFILE
きじまりゅうた
祖母と母が料理研究家という家庭で育つ。幼い頃は肥満児。高校時代はアメリカンフットボールに熱中し、大学在学中にアパレルメーカーに就職。20代前半は服飾ブランドのディレクターを務める。その後、母(料理研究家・杵島直美)のアシスタントになり5年間の修行を経て28歳で独立。修行時代からの目標だった番組「きょうの料理」(NHK)に29歳で初出演。「あさイチ」(NHK)や旅番組出演のほか、全国での料理教室やイベント・講演会などにも多数出演。2016年、「きじまりゅうたの小腹がすきました!」(NHK)がスタートし、さらに活動の幅を広げている。楽しく分かりやすいトークとオリジナリティーあふれる料理をモットーに男性のリアルな視点から考えた「若い世代にもムリのない料理」の作り方を提案している。趣味はサーフィン、山歩き、ブラックミュージックを中心とした音楽鑑賞。いまはジビエにも興味津々。