料理研究家・管理栄養士エダ ジュン
文:エダ ジュン / 写真:木村文平
中国料理のバリエーションって本当に豊富ですよね。北京、広東、四川、福建、湖南、雲南、それにいろんな国の要素が詰まった香港……国土が広いので、その地域ごとに本当にさまざまな料理があります。そこでとれる作物や魚、肉といった素材も大いに生かされています。
日本における中国料理でも、ゴージャスなコース料理もあれば庶民的な町中華もあり、最近ではフレンチのビストロ風もあります。家庭ごとにも、炒飯や餃子など、個々のレシピがきっとありますよね。
そんな中国料理でよく使われるのが豆板醤。豆板醤はもともと中国・四川地方の唐辛子味噌(みそ)。そら豆に塩、赤唐辛子、麹などを加えて発酵させたものです。日本の家庭でも、かなりの普及率ですので、みなさんのキッチンにもあるのではないでしょうか。エビチリや麻婆豆腐などには欠かせませんね。
豆板醤は、生で食べられないこともありません。餃子などを食べるときに酢と醤油、豆板醤で食べるという方も多いかもしれません。ただ、豆板醤は火を入れることでうまみと辛味が一層引き立ちます。そして単体で使うより、複数の辛味調味料やうまみと合わせることでさらに美味しくなる気が僕はするんです。
今回は、豆板醤とわさび、豆板醤と塩麹とカレー粉、豆板醤と黒胡椒という組み合わせで3つのレシピを考えてみました。組み合わせることで、なんとも言えない、独特のマリアージュが楽しめます。
まずは豆板醤とわさび。どちらも少量ずつ使った「もやしと桜えびのわさび豆板醤あえ」です。豆板醤は唐辛子のホットな辛さ、そしてわさびは鼻に抜けるツーンとした辛さ。わさびは火を入れると辛さが半減しますから、最後にさっと絡めてください。
次に豆板醤とカレー粉、塩麹の組み合わせで「豆板醤の塩麹ドライカレー」を作ってみました。パクチーや小ねぎなど、薬味の刺激もプラスして、多国籍な味わいを出してみました。
最後に豆板醤と黒胡椒を使った「豆板醤ペッパーからあげ」。この深い味わいの辛味は、からあげにすると、とてもエキゾチック。おかずとしてもご飯が進みますし、お酒のおつまみにもぴったりなことは言うまでもありません。ぜひ、豆板醤+何か、のマリアージュを楽しんでください。
もやし・・・1袋(200g)
桜えび・・・10g
〈A〉
オイスターソース・・・小さじ2
ごま油・・・小さじ2
豆板醤・・・小さじ1/4
わさび・・・小さじ1/3
牛豚あいびき肉・・・150g
玉ねぎ・・・1/2個(約100g)
にんにく・・・1片(約5g)
オリーブオイル・・・大さじ1
〈トッピング用〉パクチー(小ねぎなど)・・・適量
〈A〉
ケチャップ・・・大さじ4
塩麹・・・大さじ1
カレー粉・・・小さじ2
豆板醤・・・小さじ1
鶏もも肉・・・1枚(約250g)
片栗粉、油・・・各適量
サニーレタス・・・お好みの量
〈A〉
おろしにんにく・・・小さじ1
おろし生姜・・・小さじ1
醤油・・・大さじ1
酒・・・小さじ2
みりん・・・小さじ2
豆板醤・・・小さじ1
黒胡椒・・・小さじ1
PROFILE
エダ ジュン
料理研究家・管理栄養士。1984年、東京生まれ。管理栄養士取得後、株式会社スマイルズ入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。「パクチーボーイ」の名義でも活動中。お手軽アジアごはんや、パクチーを使ったレシピが得意。著書に「フライパンひとつで!のっけ弁当」(学研プラス)、「アジア料理をカレーにしたら?」(文化出版局)、「野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150」(誠文堂新光社)など。
●料理研究家としてのモットー
「料理にやっちゃいけないことはない」という気持ちを大切に、固定概念に捉われず、ワクワクする料理・レシピをお届けすることを心がけています。