料理研究家・管理栄養士エダ ジュン
文:エダ ジュン / 写真:木村文平
サムギョプサル、タッカンマリ、サムゲタン……。ちょっと前までは日本の家庭で作ることが珍しかった料理も、すっかりポピュラーになった感じがしますね。
僕も韓国料理は大好きです。タイ、台湾と並び、韓国にも年に一度は行こうと思っています。国内でも韓国料理店は増えましたが、やはり本場の味は一味も二味も違いますから。
毎日自分で料理を作っていると、自分の味に飽きてしまうんです(笑)。そういう時に刺激をもらうのはやっぱりアジアの料理なんですよね。いつから韓国料理に興味を持ったかを思い出していたのですが、僕は社会人になってからですね。ひょっとしたら韓流ドラマの「冬のソナタ」あたりからかも。
辛い発酵調味料といえば、中国の豆板醤(とうばんじゃん)、韓国のコチュジャンですね。
コチュジャンは、唐辛子や豆を発酵させた辛い味噌。日本の味噌にも米や大豆、麦といろんな素材でいろんなつくり方があるように、さまざまな種類があるようです。特徴としては、辛さも甘味もあるところでしょうか。
いつも買っているのは、この韓国のブランドbibigo(ビビゴ)のもの。辛味が強く、甘さが程よいんです。しつこくない。日本製のものは、甘さがこってりねっとりしているものが多いようです。でも辛味が苦手な人には日本製もいいと思います。
コチュジャンは韓国料理だけのものだと思っていませんか。それが意外にも、和食にも、洋食にも合うんですよ。醤油(しょうゆ)、味噌(みそ)、しょうがで味付けした肉じゃが風の煮ものにひとさじ加えると、体がポクポクあったまる、新鮮な味になります。日本の味噌ともなじみやすいので、味噌汁に入れてもいいですね。
今回は「コチュジャン豚汁」のレシピをご紹介します。肉を焼き付けると、あくが出にくいです。これからの季節にぴったり。肉のだしのほか、いりこのだしとも相性がいいですよ。
最近の韓国料理にはよくチーズを使うから、クリームも合うと思ったんです。なので「鶏肉ときのこのコチュジャンクリーム煮」もご提案。鶏肉の皮はぱりっと焼いて、しっかりうまみをコーティングするのが美味しさのコツです。
コチュジャンを、イタリアン風のトマトのマリネに混ぜても美味しいです。オリーブオイル、ビネガー、塩、胡椒をトマトと合わせたものにコチュジャンをプラスするだけ。トマトソースやケチャップと合わせてもいいし、マヨネーズとコチュジャンを合わせたソースもできます。
にんにく、唐辛子を合わせたペペロンチーノに卵黄を加え、そこにコチュジャンをひとさじ入れても美味しいスパゲティができます。
そのほか、コチュジャンはアボカドなどのコク深い味わいのフルーツとも相性抜群。「アボカドのコチュジャンナムル風」は簡単にできて、副菜やつまみとしても活躍します。
特定の調味料への思い込みを捨てて、そのうまみ、辛味、甘味という味から組み合わせを発想していきましょう。
豚バラ肉・・・100g
大根・・・長さ1cm(約50g)
にんじん・・・1/3本(約50g)
ごぼう・・・1/3本(約30g)
味噌・・・大さじ2
コチュジャン・・・小さじ2
だし汁・・・800ml
ごま油・・・小さじ2
小ねぎ・・・適量
鶏もも肉 ・・・1枚(約250g)
しめじ・・・1パック(約100g)
にんにく(薄切り)・・・1片(約5g)
酒・・・大さじ2
コチュジャン・・・小さじ2
生クリーム(脂肪分35%のもの)・・・1カップ
オリーブオイル・・・大さじ1
パセリ・・・適量
〈肉の下味〉
塩・・・ひとつまみ
薄力粉・・・小さじ1
アボカド・・・1個(約130g)
大葉・・・6枚
〈A〉
コチュジャン、醤油、ごま油・・・各小さじ1
いりごま(白)・・・小さじ1/2
PROFILE
エダ ジュン
料理研究家・管理栄養士。1984年、東京生まれ。管理栄養士取得後、株式会社スマイルズ入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。「パクチーボーイ」の名義でも活動中。お手軽アジアごはんや、パクチーを使ったレシピが得意。著書に「フライパンひとつで!のっけ弁当」(学研プラス)、「アジア料理をカレーにしたら?」(文化出版局)、「野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150」(誠文堂新光社)など。
●料理研究家としてのモットー
「料理にやっちゃいけないことはない」という気持ちを大切に、固定概念に捉われず、ワクワクする料理・レシピをお届けすることを心がけています。