井澤由美子「ご飯に合う甘辛おかずに。コチュジャン風たれ」

はじめての発酵食レシピ Vol.07ご飯に合う甘辛おかずに。コチュジャン風たれ

料理家井澤 由美子

「はじめての発酵食レシピ」第7回は、市販の豆板醤(とうばんじゃん)に味噌(みそ)と醤油(しょうゆ)、砂糖少々を加えて混ぜるだけの簡単なコチュジャン風調味料をもとに2品ご紹介します。味噌、醤油、豆板醤はそれぞれがうまみのある発酵調味料なので、合わせると奥行きの深い味わいになります。ぜひ試してみてください。

文・写真:井澤由美子

ドラマで人気の韓国料理。彼の地の発酵食品は?

今年の冬は寒いと言われていますが、さていかがでしょう。風邪に負けない、免疫力の強いカラダを維持するためにも、食事には気を配りたいですね。寒さを感じると、温かいごはんが進みますから、甘辛いおかずも出番が増えそうです。

韓流ドラマで登場人物が美味しそうに韓国料理を食べているのを見るからでしょうか。日本でも、10年前は食べなかったような韓国料理にも人気が集まっています。その韓国料理にも、発酵食品はいろいろあります。代表的なものはキムチですが、日本の味噌のような韓国の味噌もあります。

日本の味噌とは違う独特の香りがあり、潰した豆は粗め。現地のチゲ鍋はこの味噌を使って作られていますから、それを日本で真似しようとすると、味噌に納豆を入れたものに似ていると気づきました。本場の味を楽しみたい方は、ぜひ納豆を入れてお試しください。

コチュジャン風調味料を簡単に

韓国料理でよく使う調味料・コチュジャン。コチュジャンは、もち米と唐辛子を発酵させ、水あめなどを混ぜて発酵させて作るうまみ調味料です。日本では、焼肉屋さんのテーブルなどには置かれていたりしますが、まだまだ常備しているというお宅は少ないかもしれません。
そこで、わざわざ買ってこなくとも、味噌や醤油などを使って「コチュジャン風」な調味料を手作りしてみてはいかがでしょう。余ったら、練りごまや酢を混ぜて味に変化をつけ、コクのあるたれにしてもいいものです。

焼いた野菜にかけると、それだけでごちそうになります。寒くなるとなかなか生の野菜は食べづらいものですが、山盛りのサラダボウルも甘辛いたれだと箸が進むし、白身のお刺身などを乗せてカルパッチョ風にしてもよいですね。

韓国を旅したとき、イカの炒めものが人気でしたが、このたれはその本場の味に近いものです。酢を少し加えて酢コチュジャンにすれば、たこやゆで野菜、海藻と絡めたナムル風の副菜もすぐにできます。葉野菜や豆腐にかけてもいいですよ。

それぞれの国に、発酵の物語があるのでしょう。何かが腐っているのではなく、発酵して、偶然美味しくなっていた。そのまま保存もできる。それを食べてみたところ、おなかの調子がよくて元気が出るし、肌の調子も良さそうなどと、誰かが身をもって発見していったのでしょう。

私たちもその恩恵にあずかることにしましょう。

発酵食RECIPE

コチュジャン風たれ

コチュジャン風たれ

▼材料(大さじ3くらいの分量分)
豆板醬
大さじ1
味噌
大さじ1
醤油
小さじ1
きび砂糖
小さじ1
コチュジャン風たれの材料
▼作り方
  1. 分量の調味料を均一になるまでよく混ぜる。
分量の調味料を均一になるまでよく混ぜる
焼きナスの練りごまコチュジャンソース

焼きナスの
練りごまコチュジャンソース

▼材料/2人分
ナス
2本
ごま油
小さじ2
ねぎ(小口切り)
大さじ2
コチュジャン風たれ
大さじ3
練りごま
小さじ2
大さじ1.5~2
焼きナスの練りごまコチュジャンソースーの材料
▼作り方
  1. ナスはヘタを落として縦半分に切る。フライパンにごま油をなじませて、中火で両面を焼き、フタをして中弱火にし5分ほど蒸し焼きにする。
  2. コチュジャン風たれに練りごま、酢を混ぜ合わせて、コチュジャン風たれをアレンジ。
  3. 1を器に置き、2のたれをかけ、ねぎを散らす。ねぎ以外でも、三つ葉、芹、パクチーなど好みの薬味でOKです。
フライパンにごま油をなじませて、中火でナスを両面を焼く
サツマイモと豚肉のコチュジャン風炒め

サツマイモと豚肉の
コチュジャン風炒め

▼材料/2人分
サツマイモ
200g
豚バラ肉
180g
コチュジャン風たれ
大さじ3
塩、胡椒(こしょう)、片栗粉
各少々
バター
小さじ2
ごま油
小さじ2
サツマイモと豚肉のコチュジャン風炒めの材料
▼作り方
  1. コチュジャン風たれと水(分量外)大さじ1.5を合わせておく。
  2. 豚肉は軽く塩、胡椒をふり片栗粉を薄くまぶす。
  3. サツマイモは1cmの斜め切りにし、半分に切る。鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぎフタをして8~10分ゆでて、ザルに上げる。
  4. フライパンを中火で熱し、ごま油をなじませ2の豚肉を両面焼いて、取り出しておく。
  5. 4のフライパンにバターを入れ、3のサツマイモを両面焼き、1と4の豚肉を加えて全体を炒め合わせ、器に盛る。
全体を炒め合わせる。
井澤由美子(いざわ・ゆみこ)

PROFILE

井澤由美子(いざわ・ゆみこ)

料理家。調理師・国際中医薬膳師・国際中医師*。海外雑誌「マーサ・スチュワート」の日本版編集部、広告制作部より独立。体を健やかに保つ発酵食や、薬膳、保存食作りをライフワークとし、季節の素材で美味しく健康的なレシピを提案している。レモン塩や乳酸キャベツのブームの火付け役としても知られ、手作りの良さを広めている。NHK「きょうの料理」、「あさイチ」などの料理番組のほか、商品開発や雑誌、講演など活動は多岐にわたる。著書に「『ストウブ』でもてなしごはん&毎日おかず」、「痩せる!きれいになる!病気にならない!乳酸キャベツ健康レシピ」、「体がよろこぶお漬け物:乳酸発酵の力で、体の中から美しく」など多数。* 国際中医薬膳師・国際中医師:「国際中医薬膳師」は中国政府が直轄する中国中医薬研究促進会が、能力認定試験を行い、認定証書の発行をしている資格。「国際中医師」は中国の伝統医学、中医学を中国国内だけではなく世界に普及させるために設けられた資格。中国政府の外郭団体である世界中医薬学会連合会が主催する国際中医師試験に合格する必要がある。